ニュースタイトル(天の声)

近頃世間を騒がしている「天の声」という言葉がある。

NHKなどによるテレビニュースでも、ニュースタイトルとして大書き見出しで「天の声」と書いている。

私は、マスメディアがこのようなニュースタイトルを平気で用いることに、大いに疑問がある。

なぜなら、「天の声」というのは、現実にはないものである。それは、人が使った言葉に過ぎない。しかし、それにもかかわらず、これがニュースタイトルとして流されることによって、さも現実にあるかのような錯覚を人々にもたらす恐れがあるからである。
テレビを見る人々に、「天の声」という表現を用いた指示伝達が社会組織の中にあるかのような、あるいはあってもよいかのような認識をもたらす恐れがあるからである。

たとえば、誰かが竜が出たと言って、ある地域でちょっとした騒ぎになったとしよう。それを、「竜が出た」という見出して、繰り返しテレビニュースで流すことを考えるとよい。

「天の声」とは、神の声を意味する。もしこれを聞いたと言うなら、幻聴、妄想の世界である。
穏便に言えば、きわめて主観的世界であり、その者だけの出来事に過ぎない。

これがもし現実にあるとして言うなら、独裁的絶対的主権者の声である。しかし、これも今の我々の社会ではありえない。なぜなら、この日本の政治体制において、独裁的絶対的主権者という者はいないからである。

「天の声」という言葉を語ったこれは、事件としていうならば、職権の濫用事件である。

ニュースメディアに働く者は、もっと情報伝達に思慮深くあるべきである。

それとも、我々の学歴社会の内容レベルは、ここまで落ちてきたということなのだろうか。