善人と悪人の勝敗

善人は、悪、あるいは悪人と出くわすと、ずいぶん心を悩ます。あるいはエネルギーを消耗する。

悪というものは非常に強い。

悪人は何事によらず攻撃的である。そして、人を責める。

相手が手強いと思うと、いっそう攻撃力を強める。

また、悪人ほど団結する。

善人は、何事によらず反省的で、自身が正しいか否かを省みる。

そのため、打って出る力に欠け、傍観的となり、さらには、引っ込み思案となる。

時には、財を奪われたり、身を汚されたり、心身を傷つけられても、自身の善なる心でその悪人を見ようとする。

悪人は団結し、仲間をつくろうとするが、善人はそれを清としないから、一人で向かうことになる。

しかし、いくら善人でも、ある程度打たれると、堪忍が切れて反撃に出ようとする。

ところが、すでに打たれているために、そこから立ち上がってからの反撃となる。このハンディが、またとても大きい。

通常の善人は、したがって敗者となる。

(参・安岡正篤論語に学ぶ』)