押しのけあう人間関係と愛

木々は木々だけの持つ愛を持っている。

セコセコ押しのけあう人間が忘れちまった愛だ。
加島祥造『タオと谷の思索』より)


セコセコ押しのけあう人間は、その愛を忘れなければならないか。

いやいや、その愛を希薄にしなければならない、ということだ。


その愛を、ひととき忘れなければ、セコセコ押しのけあう人間にはなれないか。

いやいや、その愛をひととき希薄にすることで、セコセコ押しのけあう人間になれる、ということだ。


その愛を、ひととき忘れなければ、セコセコ押しのけあう人間のなかで生きるのは難しかろう。

いやいや、その愛をひととき希薄にすることが、そうした人間のなかで生きるに生きやすかろう、ということだ。

セコセコ押しのけあう人間関係の中で、愛などという言葉は使うものではない。