個人と人間相互の関係

現在は個人主義が行き届いている時代だ、と言えるのかもしれません。

人が「個人」を自覚するようになるのは、確かに良いことです。それぞれが自分をより自分らしく生きようとし始めるのですから。

しかし、難しいことも出てきます。それは、個人と個人、個人と他者、個人と社会との関係です。

「個人」を貫いたり、重視しようとすれば、どうしてもそれぞれが自分本位になり、関係は時にスムーズにいかず、時に複雑になり、時に殺伐としたものになります。それは、良いことではありません。しかし、そういう時代に私たちは、今、生きています。

「個人」を自覚し、個人を貫くようになればなるほど自覚しなければならないもう一つの大切なことがあります。それは、「人間相互の関係」です。それは、「個人」の利を増すためというよりも、「関係」を大きく損なわないために、また損なわせないために、あるいはよりよい関係を育むために、自覚的にならねばならないのです。しかし、もちろん「個人」を滅するためでもありません。

「個人」と「人間相互の関係」は切ることのできないものです。
そういう意味では、現在の私たちは「人間相互の関係」について、関係づくりの方法だけではなく、その本質について、もっと学ばなければならない時代に生きていると言えるでしょう。