年寄りと社会

「ハウルの動く城」で、たしか、ソフィがおばあさんになって、次のような言葉を言っている。

「年寄りのいいところは、失うものが少ないことね。」

一つの真理だと思うな。
愛すべき年寄り像であるな。

人は成長するにつれて、所有するものをどんどん増やしていく。
だから、失うかもしれないという恐れも増大する。

年寄りになるにしたがって、所有するものが少なくなっていく。
だから、失うものも少なくなっていく。

ここで所有するものとは、「物」そのものと考えるべきではない。
本質は、所有欲、いや欲そのものと言えるだろう。

若い者は、その欲によって、成長する。

しかし、
歳をとっても、なお、欲が強いというのは、みっともないし、ぶさいくである。

とはいえ、
今の世の中は、そういう年寄りに、なかなかなるわけに行かないような、そんなえげつない社会になってきているのかもしれない。

これは、子供たちの生きにくさから年寄りの生きにくさまで共通する、社会（経済）環境の問題なのだ。