制限速度を超えると

先日、田んぼのなかの道路を、気持ちよく車を走らせていたときのことだ。

対向車線を走る軽トラックからパッシングがあった。

ドライバーを見ると、やや高齢の方で、助手席にいる同じような年齢の人と話しながら運転していた。一瞬のことではあったが、車や格好から見て取ると、お百姓さんのようであった。
(私は、こういうときは、とっても丁寧な言葉を使うのです。)

今の一瞬のライトは何だったのだろう、と暢気な私は、そのまま車を走らせていた。

すると、田んぼの横道で3人ほどがパイプいすに座って、赤い旗を持っておしゃべりをしている。
(要するに警察のスピード違反取締りである。)

このとき、私は特に急いでもなかったので捕まることはなかったが、また、また、憂鬱な気持ちになってしまったのだ。

昼時のこんなところで、悠長に取締りをしている連中にうんざりするのだ。
(捕まっていたら、うんざりどころか、腹が立つに違いない。)

彼らは、俺たちが働いた金の一部を手にして、飯を食っているのだ。
しかも、自分だけの飯ではない。家族の飯だってそうなのだ。

ああ、なさけない。

夜間に、バリバリやっている連中をしっかり押さえてくれ!

町の住民の中には、病に苦しんでいる者もいる。
なかなか寝付かない赤ん坊を、ようやく寝かしつけたお母さんもいる。
明朝速い仕事のため、早めに寝ようと床に入った人もいる。
受験勉強でうんうんうなっている者もいる。
ごくごく普通に、当然のこととして、一日の疲れを癒し、心地よい眠りの中にいる者もいる。

昼のさなか、皆が仕事におわれて車を走らせているときに、いやらしい取締りなどしないでほしい。
どうか、夜間、特に不特定多数に迷惑をかけている連中に対して、しっかり仕事をしてほしい。
(どうせ、彼らも、めんどくさい仕事はしたくないんだよなあ。こういうこと、知ってる人はとっくの昔に知っているんだよなあ。あんたは、甘い!と言われるんだろうなあ。)