仕事と人のタイプ

知人の職場に、こんな有能な御仁がいるそうな。

上司であるらしいが、とにかく人をよく動かすそうな。

しかも、自身は責任を持たないらしい。そして、成果はしっかりいただくらしい。

で、おもしろそうなので、その御仁がどういう風に行動するのか、参考までにいろいろと聞いてみた。

まず、上司であるから、部下にものが言える立場にある。そして、それなりに年齢がいっている。また、それなりに、その職場での経験も長い。まあ、これがひとつの背景としてある。

そして、振舞い方である。

まず、明確な指示はしない。

(御仁)「○○は、そういう調子で本当によいのか」と部下に、問う。

(部下が、しどろもどろしていると、)
(御仁)「問題はないのか」とか、「大丈夫なのか」、とさらに問う。

そこで、
(部下)こういう点に少し難があります。
(と応えようなら、彼の術中に入る。だいたい、問題がまったくない形など普通はまずない。数式の世界ならいざ知らず、必ず何かの不安材料はあるものだ。)

(御仁)それではいけないじゃないか。
(御仁)何か策はないのか。

(部下)はい、こうしてみれば何とかなるかもしれません、と言う。

(御仁)今のままでいかんのなら、いろいろやってみんといかんだろうな。

(部下)はい、やってみます。(部下はこうして、より完璧を目指して、せわしなく働くようになる。)

結果、
うまくいけばよいが、うまくいかなければ、誰がそんなことをしろといった、ということになる。
確かに、彼は、それをしろと言ってはいないのである。

面白いのは、部下の方には、「~しろ!」といったように聞こえてくるらしいことである。
(これは、なかなか巧みなやり取りである。)

しかも、その部下が動きやすいようにと、その御仁が動くことはしないのである。
つまり、彼が責任を持つ形は作らないのである。

さらに、書面でなど、その御仁は指示は出さない。
(これも、責任の所在が明確になるからだろう。)

また、さらに部下に対して、「(上層部に)、私が責任を持って、その旨を伝えておく。」
などと、よく口にするらしい。

しかし、知人曰く。
どうも、ちゃんとそれが上部に伝わっていないようなのだ、と。

ここまで、聞いた私目は、
これは、政治家の行動手法によく似ているなあ、と思いましたなあ。

職場にも、当然政治家はおるのですなあ。

(こういう行動をとりたい人は、政治家の対人手法を参考にするとよろしかろう。)