親父(おやじ)たるもの

親父がつまらぬことを苦にしておった日には、家の中は決して治まるものじゃない。
少々伜が悪くても、女房が馬鹿でも、兄弟が惰けものでも、そう苦にせずに、その惰け者の兄弟も、その癖の悪い伜も、少しとんまな女房も、奮い立たざるを得ないように、主人公が奮起すると、それでかたづくものだ。
それをとかく主人公がいろいろなことを苦にするものだから、自然いさかいが起こって来る、いろいろ憂鬱になり陰惨になる。(安岡正篤『東洋発掘』)
 
聞けるものは聞くとよい。
聞けれぬものは聞かずとよい。
 
しかし、どうも、多くの日本人の家庭で生きている精神性であるようには思う。