たいへん奇妙なことのように思えますが、誰しもが常々に「私」を自覚して生きているかというと、そうではありません。
眠っているときに「私」を失っているのだと言うかもしれませんが、よくよく考えて見ますと、人は皆、しっかりと「私」を自覚して、日中を過ごしているかというと、意外とそうでもないのです。
日々、けっこうぼんやりとした「私」のままに生きているのが現実のようです。
もちろんこれは、自己主張といった浅い話の自意識を言っているのではありませんよ。
常に私であること。それは、随所に主となることなのです。