頭(こうべ)をたれる

田んぼでは稲穂が黄金色に実り、
刈り入れが進んでいます。

そして、今、
豊穣を感謝する祭りが行われようとしています。
うれしいことです。
喜ばしいことです。

さて、
実りの秋とは関係ないような話の展開ですが、
よく知られている句を思い出しました。

「実るほど 頭(こうべ)をたれる稲穂かな」

この句、
「徳の高い人ほど腰が低い」ということで、どこかで教えられたような・・・。

まことにそのとおり、
徳の高い人ほど腰が低いのでございましょう。

しかし、世間というのはそう単純ではございませんぞ!

また、人間関係というものは、そう単純なものではございません。
まして、利害を伴う人間関係ですと、なおさらですな。

さらに、さらに、
利害の争奪戦のごとき、競争社会、あるいは競争関係、あるいは競争組織のなかでは、徳があるとかないとか言っておれないこともございます。(悲しい現実ですなあ。)

腰が低い者の腰をさらにかがめさせようとする者もございますし、
腰が低い者を使って、その者を踏み台にして上っていく者もございます。
また、腰が低い者を使って、人様にいかに自分が力のある者であるかを示そうとしたりなぞは、
この世間ではよくあることでございます。

競争社会などというと、若い者、働き盛りの者の世界かというと、とんでもございませんな。

年寄りの集まるグループでも、そうした姿はありますぞ!
(名誉欲、自己顕示欲、権力欲、欲はいろいろありますからなあ。)

まあ、理想的人間の姿は、理想的な人間たちがいる世界のなかで通用するくらいに思っておった方がよいでしょうな。

しかし、
知らぬより、知っておくとよろしいでしょう。
徳の高い人との関係においては、大事なことですからな。
「実るほど、頭をたれる稲穂かな」ですじゃ。