大きな苦労

「若いときの苦労は買ってでもせよ」という言葉があります。

しかしここで、若いときに苦労した人が、あるいは後に苦労された人がみな優れた人になると考えると間違いが起こります。

買って苦労する程度のものであればよいのですが、あまりに大きな苦労をしてしまうと、なかなか立ち上がれなくなったりする人もいるものです。

そうした人のなかには、人をねたんだり、世をすねたり、ひねくれものになったり、といろいろな方がいます。

してみると、まず、苦労をした人だから好い人だと思ってはいけません。
苦労をしている人の心、痛みがよくわかるから、よい人に違いないと安易に近づいてはいけません。
かえって、傷に塩を塗られるかもしれませぬぞ!

まあ、しかし、
「若いときの苦労は買ってでもせよ」という格言が間違っているとは思いませんので、これはこれとして理解しておきましょう。
目的を達成するために、苦労して何がしかの成果を収めた者は、それなりに人格を高めることでしょうから。