住む人の管理

タイトルは、(「管理される人々」という視点から)「住民を管理する道具」でもよいでしょう。

で、ここでいう道具とは町内会のことです。

管理される末端は、町内会の平会員であるその町の住人、およびその町内に住む会員でない人たちです。(会員でない人たちは、平常時は間接的な管理下にあります。)

管理する側のものは、市町村(行政府)、その上には都道府県(行政府)、その上には国があります。

末端住民にとって、もっとも身近な管理者側の者とは町内会の役員であったり、役員のトップの者であったりとも考えられます。

この構造は、行政府が住民にさまざまな情報を流す手段として用いられ、たいへん効果的に機能しています。特に田舎や古い住宅地域ではそうでしょう。

ごみの収集や回覧板の回覧などは、最もよく知られたことでしょう。

情報提供だけならもちろん管理という言葉は使えませんが、住民に何かをするよう仕向けている場合には、管理という言葉が使えることになります。(もちろん、たいていの住民はそのように意識することはありません。)

ところで、この町内会はいつごろ生まれたのでしょうか。

それがどうもわかりません。
もともと住宅地域住民の親睦会あるいは自治的団体(これがなぜ始まったかも私は知らない。)のような形で始まったらしいのですが・・・。

しかし、やがてこれが法的に位置づけられることになります。
それは、1943年の戦時体制下です。
そして、その位置づけは地方行政の補助機関です。
その町内会の会員は、町内の住民の世帯主です。(これは現在も続いているのでしょうか。)
そして、戦時中、この町内会を通して、いろいろなものの配給、金属を出すこと、労務を提供することが強力に求められるなどが行われることになります。

こうした役割をになった町内会は、戦後の占領下に法的に解散させられました。

しかし、すぐに任意団体として再び組織され、現在に至っています。

もちろん、この再組織化には氏神を祭るとか、葬儀をするとか、様々な形の住民相互による便益がそこにあったからなのでしょうが、その一方で、行政の補助としての機能もそのまま残ったようです。

このあたりが、まことに微妙で、ともすると行政の管理下にあるような姿も出てくるのでしょう。

きわめて統制しやすい(統制されやすい)構図が私たちの暮らしの中には潜んでいるようです。