あくまで人間です!

これは、あくまで、独り言、一人遊びですので・・・。


雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモ マケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
(そんな人がいたら超人だな! まず、人間ではありえない。)

欲ハナク
(やっぱり、これは人間ではない! 神か、仏だな、きっと!)

決シテ瞋ラズ
(人間ではありえない! 怒らない人間なんて、人間ではありえない。人間は喜怒哀楽をもつ!)

イツモシヅカニワラッテヰル
(きっと、おかしな人に違いない! いや、やっぱり人間でなく、菩薩様かもしれない。)

一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ
(そんな食事では、健康を維持できないぞ! 栄養のバランスを考えなくてはいかん! )

アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ
(人間では無理だ!)

ヨクミキキシワカリ 
ソシテワスレズ
(やっぱり、不可能だ! 無理だ!)

野原ノ松ノ林ノ陰ノ
小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ
(これでは、世捨て人だ! 身体を壊してしまう! 乞食かもしれない! 死んじゃうよ!)

東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ
(善いことだ!)

西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ
(とても、善いことだ!)

南ニ死ニサウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
(ちょっと、安易じゃないか! 無責任すぎはしないか!)

北ニケンクワヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ
(ぶっとばされっぞ! へまをすると、殺されるぞ! 事情もわからず口を挿むなって!)

ヒドリノトキハナミダヲナガシ
(これは、ちょっと情けない! それなりの行動を起こさねば!)

サムサノナツハオロオロアルキ
(やっぱり、情けなさ過ぎる! 対策を講じるべく考え、行動を起こさねばいけない!)

ミンナニデクノボートヨバレ
(そんな情けないことではいけない! そのように言われないようにしよう! 自信を喪失していくぞ!)

ホメラレモセズ
(人間というものは、ほめられたらうれしいものだ! ほめられるときには、ほめられ、喜びなさい! 人がよいことをしたときには、ほめてあげなさい!)

クニモサレズ
(そう、人から苦にされるようなことはないほうがよい! でも、誰からも苦にされない人なんていないんだよ! それは神さんや仏さんだ! いや、神さんだって、苦にされるものもおる。日本の神さんのなかには、苦にされるものもおるぞ!)

サウイフモノニ ワタシハ ナリタイ
(おお、そうだったか。 あなたは、そういうものになりたいのか! しかし、もう、それは人間ではいぞ! まさに、神か仏に、あなたはなりたいというのか! それは、大それたことだ! ひょっとして、君は、生きる意欲を失ってしまったか!)

・・・

アメリカの日本語クラスでこの詩を教えたら、アメリカ人学生は「牧師の祈りか説教みたいなもので、ちっとも面白くない」という感想を示したという。(長谷川潔『私の英語開眼』)

なるほど、そうだよな。
こんなことを考える人になれと、間違っても子供に教えてはいけない。

こんなことを考えながら生きていては、世間を生きられない人間をつくるようなものだ!

世間で生きられぬから坊主になるか?
いやいや、坊主にもなれんだろう。
坊主の世界だって、世間と変わるものではないのだからな。

となれば、さっさと人間世界とおさらばして、仏になるしかないではないか。


賢治さんは、こんなやさしいことを考えていたんだなんて、立派な人間のモデルみたいに子供に教えた教師が、夜には、酒飲んで職場の愚痴を言ってるなんてことを想像しただけでも、恐ろしく罪作りだと思ってしまうな。

心優しい、賢治さんが、ちょっと気弱になって、そんな人間になれたらいいなあ、と胸のうちを手帳に書き留めたということかなあ。


宮沢賢治さんの作品は好きで、特に「どっどど、どどっど、どどっど、どー」が好きなんだ!
それに、銀河鉄道も、山猫も、みんな好きなんだけど、これだけは気をつけなくっちゃね!


(あとで、たまたま、調べることができたのだけれど、賢治さんは本当に玄米主義をやっていて、彼にとってはそれも体によくなかったということ、また、亡くなる前にはお百姓が来て、あれこれ肥料の話を聞きたがり、それに親切に応えたことが体に無理をきたしたということなどを、青江さんという方が書いていました。やっぱり、あんまりすぎることをしてはいけませんね。(青江舜二郎『宮沢賢治』))