ニーズ多様化の背景から人生を考える

人が多様な価値観をもって生きる社会になったとか、ニーズの多様化とかという言葉で、近年の日本社会を説明する政治家や評論家、エコノミストたちがいる。

人生そのものは、本来多様なものであるはずであるが、果たしてどう考えるべきなのか。

ニーズの多様化を、商品の多様性と連関づけて説明する者がいる。
しかし、多様な商品がつくられる背景には、一方に販売戦略、もう一方に購買力というものを考えねばならない。

人の欲求は、本来、多様である。
ニーズの多様化を、多様化する消費ニーズという言葉に代えて言えば、この背景には消費者の購買欲を引き出すための販売戦略があり、それに応えるだけの購買力があって、現在の状況が生まれてきていると考えるとよい。

人の生き方が多様になったというのは、それだけ購買力という豊かさが人々にできてきているということでもある。
豊かさを手にしているものは、幸せである。

しかし、貯蓄よりも借金におわれて生活している者がいるのも事実である。
これを考えると、多様化する消費ニーズの背景には購買力の高まりがあると簡単には言ってしまえない。

販売戦略の方が、購買力に勝っているようにも思える。
購買欲、所有欲を煽るコマーシャルは、すさまじいものである。
借金をして、所有欲を満たす方向に流れていく人々も大勢いる。
当然、その一方に利益を得る者がいるのである。

格差もこうして生まれる。

ここで、社会のあり様よりも、自分一人の生き方を考えれば、
おろかな消費者であっては、人生を台無しにする。

人生を豊かに生きようと思えば、賢い消費者でなければならない。