人生と経済生活を考える

個人のライフサイクルと経済生活には、一般的に一定のパターンがあります。
ライフサイクルの各ステージについて考えてみます。
まず、教育を受ける期間を終えて働き始めると、自由に自分一人でお金を使えて、豊かになる段階があります。
次に、結婚して二人で働いている期間があります。この間は、二馬力となりさらに豊かさ感は増します。しかし短い期間です。
次の段階では、子供ができると(妊娠中から)妻が働けなくなって一馬力(後に二馬力を回復するが)での生計と食費等が2人分から3人分(或いはそれ以上)に変わり、養育教育費が加わりますから、家計は急に、そして次第に厳しくなります。ここから子供が経済的に独立するまでが、第3のステージです。この期間が20から30年程と長いです。(30代半ばで始めるとほぼ60代に終わります。)
次に、子供が独立した後は二人で働き、それを二人で使う元の段階に戻りますから家計は楽になります。短い期間です(殆ど無い人生もあります)が、これが第4のステージです。
次は最終ステージで、歳をとって(十分に或いは全く)働けなくなり、人によっては家計は大変厳しいものになります。社会保障制度のない時代では、子による扶養か蓄財がなければ病気と飢えの短い老後人生を終えます。従って、現代でもこのステージで蓄財の多寡は大きく人生に影響します。しかし、多ければ多いほど人生に良いかどうかは一概に言えません。また、国民年金(老齢基礎年金)はざっと月に6万円程度と考えておけば良いでしょう。このステージは精神面では最も豊かに生きる可能性のある時期ですから、別の意味で家庭経済の重要さがあります。
いずれにせよ、こうして私達はいのちを終え、家計人生を終えます。
人生の経済生活をざっと5つのステージに分けました。生後の親の経済的扶養下にある段階を加えると6ステージです。しかし、経済的に、人生をいかに生きるかを考え、自ら自律的に生きていく期間となると、その経済生活は最初に示した5つのステージと言えます。
そして、これは勤労生活者にとっての基本的な経済生活パターンですから、これを知った上で自身の人生の経済設計を考えておく必要があります。
前述のステージには社会保障制度の話は細かく入れてませんが、これがあるから、多くの人は取り敢えずは日々「飢える恐怖」からは免れています。(社会保障制度をもっと充実させ安心を得ようとすれば、企業も個人ももっと税金を出す社会を作ることになります。)
しかし、老後のステージでは国民年金の老齢基礎年金かその他の年金か、またその他の年金なら給与収入額の多寡(その分支払額が多いですから)によって年金受給額に差がでてきますので、暮らしの安心にも差がでてきます。
子供扶養の第3ステージでは何人の子供を持つかによって異なってきますし、その教育費の貯蓄課題が出てきます。また、自家を持つか否か(持った方が良いでしょう)、持つならいつ頃か。早く持てば持つほど人生が早くに金で縛られます。遅く持てば、ローンの支払いが老後の暮らしに影響する場合があります。このステージは、経済生活上の沢山の課題が出てくる段階です。
しかしいずれにせよ、人生の経済生活過程はある程度は予想できることです。予め緩やかながらも経済計画を持って生きて行くことが、賢い自分らしい人生の歩みを進め、また終える上で必要になりましょう。
人生の経済計画が、また経済人生が壊れるのは(或いは壊すのは)一時の欲、欲による野心、一時の感情の高ぶりにあるということには注意しておかねばなりません。そして夫婦なら、共にこのことを考えていなければなりません。