人間として

人間としての人格は、天からもらったものだから、

自分からその人格を毀傷(きしょう)しないことが、

天に報いることになるのだ。
(大塩中斎『洗心洞箚記』)


天からもらったなどというと、何のことだというかもしれないが、
人間としての人格は、己が生んだわけではない。

謙虚に考えれば、もらったものだということになる。

その謙虚さを失っているから、自身についても傲慢で、人についても傲慢で、自身を生み出したものにも傲慢になるのだ。

であるから、また、私利私欲に自身が蝕まれ、自身が自身を蝕み、ときに、どうしようもない自分を、自分でつくってしまうのだ。


人間同士では「ありがとう」という気持ちをもち、天に対しては「ありがたい」という気持ちをもたなければいけない。
二宮尊徳・人間の倫理)


謙虚さに自分が抱かれれば、自身を大切に思い、そして大切にし、しかし、その自身は常につながりの中にあり、ありがたいという気持ちをもって、だからこそ共に大切に生きようとする自分になっていくのだ。