人を見る目をもつ

胸に一物のある人間は、普通一般の考えておることと違ったことをひょいと言って、みんなを刺激したり驚かせたりするものです。(安岡正篤呻吟語を読む』)

人を騙して金を巻き上げるような人間にも気をつけなければならないが、たいそう偉い人間であると思わせるような、うまい話し方をする人間にも気をつけなければならない。

こういう人間は、金を巻き上げられるほどではないから、たいしてどうということはないようだが、一種のペテン師には違いない。

そのたちの悪さは、ひょっとすると、物盗り以上に悪質かもしれない。

なぜなら、そういう人間は、人の向上心や純粋さ、その志向を手玉にとって、悦に入る人間だからである。
そして悦に入るだけならよいが、さらには人を惑わし、自身の手を汚さずして人の手を汚し、いっそう多くの人に禍をもたらすこともする人間になるからである。

人を見る目を養うというが、見る目を養うのではなく、本当は、自身をしっかりと養っていなければならないのだ。

そのためにも、自身を養う勉強を、しっかりしなければならない。