私というものを個にしてしまわぬように

個の力は無限に延ばすことができる。個の力を練磨することによって個は個ではなくなる。個は無限の力を備えた個となってゆく。このような個は天地一杯に充満する個となる。哲学者が個即全とか、一即多などというのは頭で考えたざれごとにすぎない。個は身心の練磨によって宇宙に遍満する個となる。それは宇宙の気と個の気が一つになるからである。(鎌田茂雄『五輪書』)

ざれごとの域なのかも知れないが、それでも、ざれごとの域であってはならぬと、日々に承知していれば、いつかざれごとでなくなるだろう。

宇宙の気と個の気が一つにならぬはずはない。
なぜなら、もともとは一つだからだ。
そして、
一つだからだ。