膝を屈する

中国の古い言葉に次のような文がある。


この膝一たび屈すれば、また伸ぶべからず。


相手に一度膝を屈すれば、再びその膝を伸ばすことはできない、という意味である。

相手というのも、いろいろある。

ここはひとまずこちらが折れておこうなどと頭を下げたり、つまり膝を屈したりすると、その頭を押さえつけてくるような者も、あちこちにいるのである。(このことは、以前に書いた覚えがある。)

その相手がどういう者なのかをまず知らねばならないが、それはその者の日ごろの言動をみればわかる。

しかし、相手を見ずに、自身が礼節を知るからといって、彼もまたそうだなどと思ってしまうのは、世間を知らない子供や軽薄な者のすることである。

相手に敬意を払えば、相手もこちらに敬意を払うだろうなどと考えるものも、世間を知らない者のすることである。

個人の関係でも国家間の関係でも、考えてみると、よく似たところがある。