人を感心させるほど良いことを言っていても、よくよくそのやっていること、やったことの中に自らが巻き込まれてみると、それが如何に悪行であったかと、すでに後になって知ることがあったりもするものです。
われわれは、人を感心させる話にも、気をつけなければなりません。
『
次郎物語』で知られる
下村湖人は、その著『
論語物語』で、
孔子に次のように語らせている。
われわれは、正面から反対のできない道理で飾られた悪行、というもののあることを知らなければならない。己の善を行なわんがために、人を賊(そこな)うのがその一つじゃ。そんな行いをする人は、いつもりっぱな道理を持ち合わせている。