欲に使われる

欲をなくしてしまうなどということは、とてもできることではない。

だから、欲もほどほどにということになる。

また、物への欲、世間に対しての欲というのは、あまり膨らませない方がいい。

知らず知らずのうちに、自分のためではなく、欲のために生きているなどということにもなりかねないからだ。

そうなると、ますます尽きぬ苦しみを生きることになる。

やがてはその苦しみがどこから来ているのかさえわからなくなってしまうことだろう。

自分や自分の人生が、誰あろう己の欲に使われるのである。


名利に使われて、静かなるいとまなく、一生苦しむるこそ、愚かなれ。(吉田兼好徒然草』)


しかし、己に向けられる欲というのは、一生を通じて、大切にせねばなるまい。