自然と神と

自身の、人としての誠実な生き方は、目で見、耳で聞き、香りを嗅ぎ、その空気に触れる、その実感する宇宙・自然のうちにある。

また、都市部に住む者が、あるいは人工的なものに囲まれて生きる者が、あるいはまた、利害打算の人間関係のなかで生きる者が、自然の中に身を置きたいと、時として思い始めるのも、自身のうちにある自然の発露だ。

私たちの誰しもが、宇宙・自然から得るものが大切なものであることを知っている。

しかしまた、それが自身の内にあるものであることも知らねばならない。

大地に根をはって生きるとは、そういうことだ。



神こそは野をも山をも作りおけ、人に誠の道をふめとて
(藤原基家)