昔の人に学ぶ

昔の人は、えらいことをいろいろ言っている。

頭では、理解できるのだけれど、なかなかそんな思い切ったことは言えない。

こういうことを言う人は、本当に心身をもって、わかっていたのだろうかと疑ってしまう。

えらい人だから、わかっていたのかもしれない、と思ってみたり、やっぱり、本当かなあ、と思ってみたり。

結局、自分の程度にしか、人についても理解できないのかもしれない。



物には栄枯有り、人には死生有り。

即ち生々の易なり。

須(すべか)らく知るべし、軀殻(くかく)は是れ地にして、性命は是れ天なることを。

天地未だ曾て死生有らずば、即ち人物何ぞ曾て死生有らんや。

死生、栄枯は只だ是れ一気の消息盈虚(えいきょ)なり。

此れを知れば即ち昼夜の道に通じて知る。
佐藤一斎『言志四録(二)』27)