教師たちに

人として、大人として、生きていくのに大切なことに次のことがあると思います。

それらは、

思いやりや、やさしさ。

正しい行いをすること。

人を敬うこと。

人間として生きるための叡智をもつこと。

約束を守ること。

これらは、大人の人間の個人個人が大切にしなければならないことです。また、社会そのものが大切にしなければならないものでもあります。

したがって、これらは、大人たちが子供の心に育まなければならないことでもあるのです。

近頃、子どもの学力低下が教育界で話題になっていますが、
単に「知」を高め、また、そのために競争させようというのでは、これら人として大切なもののすべてが「知」の下位に置かれることになります。
その結果、人は「知」を得ても、その心はもっとすさんだものになるでしょう。

そういう教育を要求される教師の心もすさんでいくし、子どもの心もすさんでいくでしょう。

前述した五つのことは、日本では、ずっと昔から言われてきたことです。
これらは、儒教五常として言われてきたことで、それは人が常に守るべき五つの道徳です。仁、義、礼、智、信のことです。

私たちが多くの知識を持つことは、よいことに違いありません。だから、誰もがそれを求めようとしてもよいですし、子どもたちにそれを求めさせようというのも、まるっきり悪いことではないのです。

しかし、そこのところをそう単純に考えてはいけません。人として大切なことを失わせてまで、それをしてはいけないのです。そういうことを知っているというのが「叡智」なのです。

「知」ばかり肥やして教育者になった人もいますが、そういう人の声はほどほどに聞いておくのでよいのです。

正しいことは正しいこととして、私たちは大切にしていかなければなりません。私たちや先人が捨てたもののなかには、そういう大切なものも一緒に捨てられているようです。

それらをもう一度ほ掘り起こす作業が求められているように思います。