大切にするもの

まわりの人は皆、私より、よいものを持っているように見える。

まわりの人は皆、私より、高価な物を持っているように見える。

まわりの人は皆、私より、うまく生きているように見える。

まわりの人は皆、私より、楽しく生きているように見える。

まわりの人は皆、私より、前に進んでいるように見える。

まわりの人は皆、私より、輝いているように見える。

でも、
私には、大事にしたいと思っているものがあるようだ。
いや、
確かに、大事にしているものがある。

それは、私の心のうちあると思えるものだ。

でも、
それが何なのかは、言えない。

それを名づける言葉がみつからないので、
いや、たぶんそれを指し示す言葉がないので、
言えないのだ。

まわりの人を見て、
心を揺さぶられながら、
それでも、
「あるもの」のところへ心が治まれば、
やがて、
私の心は穏やかになる。

それが、「あるもの」、つまり大事にしているものをもっていることの、証(あかし)だ。