自身を生きる

自身を生きるとは、自身を生かすことであり、自身を活かすことでもあります。

その自身とは、私利私欲で形成する個我ではありません。

自身ではありますが、その奥には自身などないという自身です。

そういう自身を拠り所とする生き方を失わないようにしなければなりません。
その大切さを知っているのに知らないふりをしてはいけません。

その生き方は生まれたときから始まっていますが、途上では、やがて希薄になります。

しかし、いのちを終えるときには再び確かなものになるはずです。
しかし、それは気づくことのできないほど束の間のことに違いありません。

できるだけ早く取り戻すことです。


物に凝滞する所なくんば、心、外界に動さるることなく、栄辱叢裡笑ふて事を処し、生死岩頭何の喜憂するなきを得、明々瞭々大道を闊歩して自己の志す所を行ふ、人、此の如くにして初めて意志の鍛錬を得たりといふべきか
(加藤咄堂)