古人の求めたものを求める

古人の跡を求めず、古人の求めたものを求めよ

とは、南山大師の言とのことである。

古人の跡を求めるとは、単に知を肥やすことであり、浅薄な私欲に基づく行為である。

一方、古人の求めたものを求めるとは、人間として普遍的に求めてやまないものを求めていこうとする純粋な生命の作業である。
それは、生きているが故の、心の深遠なところから生じてくる働きによるものであり、やむにやまれぬ生の求めそのものによってなされる作業である。