別れが定められた出会い

出会いがあれば、別れがある。

これは人の関係の、ごく当然のことだと言われているけれど、

そうそう、いつも、さめた心でいられるわけではないんだよね、生身の人間ってのはね。

それにちょっと特殊な出会いの始まりも、私たちの社会にはあるね。

たとえば、

分かれることが定められている出会いってあるよね。

定まったあるときがくれば、お互い分かれなければならないってことが、もう、わかっているというようにね。

そういうことが繰り返されると、
深い人間関係をつくるのが億劫になったり、人間関係を深めることに躊躇したりすることも起こるんだ。

なぜって、たとえその人を好きになっても、分かれなければならなくなるのが、もう見えてしまっているのだからね。

お互い好きになってしまうところまで行くならいいけど、
好きになるかもしれないって感じのところで、分かれなければならなくなったりもするんだろうね、そういう期間の限られた出会いというのはね。

それでもって、分かれた後というのは、はるかに遠く互いに暮らすことが決まっていたりしたら、なおさら、困ってしまうんだね。

こういう出会いって、
本当に出会ってしまっていいのかどうか、わからなくなってしまったりするんだね、きっと。