出会いと人生

人生における出会いの大切さというのは、よく言われることである。

たとえば、次のように言う人がいる。


「・・・自分の生き方を見つけ、自己実現した人は必ずその人を助けてくれる人にめぐり合っている・・・」(中山治さん)


これは、真実だろう。

人生における人間の関係の大切さがここにある。


しかし、ここで考えたいことが二つある。

一つは、そういう人と出会いたいとして、どう出会えるのかということだ。
もう一つは、出会いと関係維持についてだ。

まず、
どのようにそういう人と出会うのかということについて思うのだが、

上っ面で生きている状況では、そういう人とは出会いにくい。
仮に出会っていても、気がつかなかったり、通り過ぎてしまう出会いになるだろう。それでは「出会い」にならない。

ここでいう「出会い」にとっては、自分そのものが全体で表に出ているとき、というのが重要だ。
その意味では、自分そのものが、全体で表に出る生き方の重要さがある。

別の言葉を使えば、「ひたむきさ」であったり、「一生懸命」という生き方だ。

また、そういうときに、上っ面で寄ってくる者の手をつかんではいけない。

これは、注意しておくべきことだが、本当の意味でひたむきに生きているときには、何が真実かを見極める目も研ぎ澄まされているから、むしろ、自身の心のうちからの声に耳を傾けることができるかどうかにかかっていよう。


さて、もう一つのそうした出会いと関係の維持ということだが、
これについては、「人生における大切な出会い」とその関係の維持とを区別して考えることだ。

関係を維持するために大きなエネルギーをそそがねばならないというなら、ここで重要だという「出会い」がどういうものかを考えなければならない。

ここでいう「出会い」とは、あくまで偶然的なものなのだ。
一方、関係の維持とは、意図的なものだ。

人生における出会いの重要さと、関係の維持や継続の重要さとを混同してはならない。