卒業式の歌(なに歌う?)

最近は、仰げば尊しを卒業式で歌わないところもあるそうだねえ。

そうだよ。

わたしのころは、卒業式といやあ、この歌だし、誰だって、この歌で胸がいっぱいになったもんだよ。
でも、どうして、この歌を歌わなくなってきたんだい。

よくわからないけど、歌詞が古くてわかりにくいからって、言ってる人もいたよ。

それじゃあ、その意味を教えてやりゃぁ、いいじゃないか。

そりゃあ、そうだね。 でも、歌詞の内容にも、問題があるとかいう人もいるみたいなんだ。
たとえば、しょっぱなから、おかしいってね。

なんだい、そりゃ!

教師に恩をきせるような歌は、問題じゃないかって!

へえ~、そうかい、恩をきせるねえ。確かに考えようによっては、そうかもしれないねえ。でも、わたしゃ、あの歌を歌ったからって、そんなことはこれっぽっちも考えたことはなかったねえ。今考えてみても、先生たちに恩を感じてるってこたあないけど、・・・いろんな先生のことを思い出すよ。・・・あの歌は好きだねえ。何なら、歌ってやろうかい。わたしゃ、あのうた歌うと涙が出そうになっちゃうよ!

いいよ、おばあちゃん!

それにしても、どうして、恩をきせてるなんて、考えちまうんだろうねぇ。いろいろ世話んなった人に、恩を感じていいじゃないかねえ。恩っていうのは、おまえ・・・、世間的にいえば、お世話になりましたってことなんだからねえ。

ふ~ん。

それに、先生は偉いんだろ! だから、いろんなことを教えてくれるんだろ?

うん、そりゃ、そうだと思うよ!

なんか勘違いしてるんじゃないかい! そんなに人間的にえらい人ではないから、敬う必要なんてありませんって! 

人間的にえらい人? 

そうさ。知識を持ってるえらい人だから先生になって、教えてるんだろう!人間的にえらいかどうかなんてことまでややこしいこと考えなくっていいんじゃないかい。人間的にいい人かどうかなんて、一体誰がはかるんだい。お釈迦様や仏様がこの世にいるわけでもあるまいしねえ!

じゃあ、やっぱり、敬ったり、恩に感じたりしなくていいんじゃない?

だめだねえ、お前は! 教えてくれているってことをありがたく思えばいいんだよ。人に教える知識があるってことは、えらいんだからね。それで、その知識を教えてくれるんだから、感謝してもいいじゃないかい! それに、いろいろ気にしてくれる先生もいるじゃないか! だから、お世話になりました、とか、いろいろ教えてくれて、ありがとうございましたって思わないといけないし、思って当たり前なんだよ!

でもねえ、先生たちの中に、そういうのが恩きせがましくて、上から下を見ているようで、おかしいって言う人もいるみたいなんだよ!

へえ、そうかい。そんな時代なのかい! 先生がそんなに謙虚になっちゃあ、世もすえだねえ! 恩をきせるようで、おかしいなんて、先生が言っているんなら、そりゃあ、先生が情けないってもんだ。恩をきせるってのはいけないよ! しかしねえ、知識を与えてくださった人や世話になった人に恩を感じたり、感謝の気持ちを抱いたり、たくさんの知識をもっててたいしたお人だと仰ぎ見たりってことは、あっていいことだよ!そういうので、世間の人間関係はうまくいっているんだよ!それを、恩をきせるようなものだからいけないっていうのは、歌の文句を知識だけでしか見ていないこんこんちきか、お金をもらうために書いていることだけ教えてる先生なんじゃないかい!そんな先生は先生じゃないねえ。やめちまったらいいんだよ! 情けないねえ、まったく! 世の中おかしくなっちまうのも、むりないねえ! もう、こんな話をしていると、私の頭まで、おかしくなっちまうよ! ああだ、こうだと、やたら考えるばかりの人が増えたんだねえ。 
もうわたしゃこんな話はやめるよ!
縁側で、梅の花でも見ながら、お茶でも飲むからね!