人間になる

人間は、人間に生まれてもなお、人間になるべく生きようとする。

そういう性をもって生まれた存在だ。

しかし、その性向すら、見失うことがあり、見失う者もある。

えらそうなことを言っていても、荒びのなかにとらわれると、人間も禽獣どころか禽獣以下のことをする者になる。

そうならぬためには、常々に、禽獣ではなく「人間」として生まれたことを真に自覚せねばならぬ。

僅かな差が、千里の差となって、誤りを生むことを懼(おそ)れ、生きねばならぬ。