金と人生

金が大事だといって、金のために人生を生きることは、己が人生を金の奴隷にするようなものでしょう。

しかし、だからといって金のことを大事に考えないのが良いのかというとそうではありませんよね。

古いものからの引用ですが、佐藤義亮氏は次のように言っています。


金、金といって、金銭のための人生という考えは、もちろんいけないのですが、その反対に、金銭を軽視する人を、立派な人格者のように思うのも間違っています。
金は、身を立て家を興す上に大事であると共に、国家社会に役立つものである以上、どんな些細な金でも決して粗末に取り扱うべきものではありません。
ばら銭のままズボンのかくしに入れて無造作に出し入れしたり、机の引き出しの隅に、白銅や銅貨などを埃にまみれたまま置いたりする人で、金に恵まれたという話は、あまり聞かれまいと思います。
(佐藤義亮『向上の道』より。原文は旧字、旧仮名遣い。)