人の道とは

人の道とは、性(せい)に従うものだ。

人間の道とは、人間の性(せい)に従ったものだ。

ここで言う性とは、天の命(めい)のことだ。

天の命とは、大宇宙の理と言ってもよい。

この大宇宙の理が人に伝わっているものが、人間の性だ。

ここには動物の性もあり、植物の性もある。

しかし、万物の性の根源は、同じだ。すべては、天の命から来ているからだ。

しかし、それでも万物の性にはおのずと異なりがある。それぞれに、伝わり、現われが異なるからだ。

そこで、人には人の性があると言うだ。

天の命を性(せい)と言うが、この性に従うものを道(みち)と言う。

人間の伝えられた性、即ち、人間の性に従うものを人間の道と言うのだ。


人に知られないと思うところで、人の道にはずれることをしても、「お天道様はちゃんと見ている」と言うのはこういうことだ。

昔の、市井の人たちが言っていたことを、もう一度噛み締めたいね。


天命之謂性、率性之謂道

道也者、不可須臾離也

(ともに『中庸』一章)